デブの「ダサ井イモ子」の悲惨な試着室
私は、田舎県田舎村、出身である。
服を売っている八百屋に行くのでさえ、車で一時間、
ともなれば、
誰が「ファッショナブル」なんぞに成り得ようか・・・
小学校の時、
「特売品って何ですか?」
という生徒の質問に、先生が
「Micchieeさんが着ているようなTシャツのことです。」
と言われて時から、私の
「ダサ井イモ子」
の人生は、始まった。
あれは、18歳の夏だった。
私のジーンズは、当然、ゴム入りのものだった。
ある日、友達に
「ゴム入りのジーンズを穿くようなセンスには、なりたくない。」
「私は、Levi’s が好き」
「Somethingは、女の子のジーンズよね」
と言われた。
言っている意味は、よくわからなかったが、
彼女には、行きつけのジーンズ専門店があるというので、
そこへ連れて行ってもらった。
狭いお店には、ジーンズが所狭しと並んでいた。
ほとんどのジーンズが7000~8000円はする。
(ほへ~。アメリカ製って、お高いのね・・・)
(私、行きつけの西友とは、大違いだ・・・)
超ショートヘアの発育不全みたいなほっそい店員が
慇懃無礼に対応してくる。
「お客様のサイズはいくつですか?」
えっ、サイズって、いっても、
20とか30とか、わけわからん。
「これは、インチですよ。」
インチ!? 何、それ? おいしいの?
「ちょっと・・・サイズわからないのですが・・・」
不覚にも声がかすれてしまった。
店員は、鼻をフンッと鳴らし、
おもいっきり下の方にある
ジーンズを引っ張り出した。
「お客様なら・・・これくらいかな・・・」
一番サイズがでかいやつだ!
横の友達は、私より数インチ、細いジーンズを選んで、見ている。
「お客様は、どのようなスタイルがお好きですか?」
えっ、スタイルって、何のこと?
「あっ、あの、なるべく細く見えるようなものを・・・」
く~、なんでこんなバカな答え方をしてしまったのだろう・・・
店員は、今度は、冷笑を浮かべ、
「でしたら、これですね。」
と選んでくれた。
うへ~
そして、試着室へ・・・
穿いてみる・・・
えっ、入らない!
ちょっと、どういうこと!
ハネてみる。ハネてみる。
あ~、ダメだ! 脱ごう!
待って!今度は、脱げない!
「お客さま~、いかがですか?」
外から、店員が声をかけてくる。
「あっ、ちょっと、待ってください」
ともかく、脱ごう!
尻で突っかかる!
太ももでも、張り付いて取れない!
ふくらはぎからさえも、剥ぎ取れない!
これって、どういうこと!
悪戦苦闘している中、
店員が何度も声をかけてくる。
「お客様~、いかがでしょう?」
(西友じゃ、店員が試着室に、声なんてかけてこないのに!)
「う~ん、ちょっと、思ったのと違うかな~」
「待ってくださいね~」
やっと、脱げた。
靴下も脱げたが。
脱げたジーンズは、すべて裏返しになり、
脱皮した蛇の皮のように、おぞましい状態だった。
店員が、又もや、聞いてくる。
「お客様~、どうですか~」
(もう、絶対、これ嫌がらせでしょ!)
「やっぱり、これ好みじゃないですね。」
(やっと、上手に答えられた!)
汗だくになって、
「私、今日は、買うのやめます。」
と、たたんだジーンズを
天敵、ガリガリ店員に返した。
友達は、2着買った。
どっちも1万円以上するものだった。
そして、丈がめちゃくちゃ長くて、思い切り、切ってもらっていた。
「アメリカ製ですからね~」
その大量の布地、横に回せよ!
店を出て、夕日を見た。
アメリカ本場のジーンズって、やせないと穿けないんだ~。
しかもものすごく高いものなんだな~。
遠いぜ。ヤンキー。
が、あの体験はなんだったんだ!
アメリカでは、Levi’sだって、何だって、
サイズ、無限にあるぞ!
しかもメチャクチャ安い!
しかも、アメリカでは、「ゴム入りジーンズ」に市民権だってある。
(あの日の汗と涙を返せ!)
やったー!
これぞ、ヤンキー!
(よくわからないけど)
現在のババアの感想・・・
ババア、もうジーンズなんて穿かないぞ。
思い切り伸びるレギンス、一択。
もちろん、股ずれで、穴だらけです。
<
おもしろ日記ランキングp>
「面白かったかも?」と思ってくださったら、
ポチと押してくださると大変うれしいです。
人形にままでいるのも悪くないな