喪女を煮詰めて、三十ウン年!王子が現れた?
「その日は、どのようにやってくるのだろうか?」
女の子だったら、誰でも
運命の王子様と結ばれる日を、夢見ていると思う。
デブスの私だって、そうだった。
結婚した女性たちが言う
「初めて会ったときに『この人だ!』ってわかったの!」
とか
「赤い糸って、本当にあるのよね。」
(目、ウルウル)
というのを聞いて、
自分にもそんなことがいつか起きることを想像しては、興奮していた。
小学校のころ、「エンジェル様」という遊びが流行った。
これは、「コックリさん」と全く同じものなのだが、
そこは子供、
「きつね」なら呪われるが「エンジェル」なら安全だという理屈で、
毎日やっていた。
いつも「エンジェル様」をやるメンバーに、
小柄でお雛様のような「夕子さん」という子がいた。
その子は、色白で、すべてが小作りで、いつも長い髪をおさげにしていた。
色黒で、大作りで、お母さんによって、いつも「ワカメちゃんカット」にされ
ていた、私とは対称的だった。
それだけ違っていても、いつも気になることは同じ。
そう、クラスの男の子。
「ヨシキ君は、誰が好きですか?」
「コウジ君は、誰が好きですか?」
クラスで、ハンサムで運動ができる、人気がある男子のことを聞いてみる。
すると、いつも答えは同じ。
「夕子」
「ショウタ君は誰が好きですか?」
「トモキ君は誰が好きですか?」
今度は中堅どころの男子のことを聞いてみる。
やはり、答えは、
「夕子」
こうなったら、乱暴で不潔なクラスの嫌われ者をことを聞いてみる。
「ゴロウ君は誰が好きですか?」
「Micchiee」
まじかー!そうくるか!夕子ー!
じゃなくて、「エンジェル様」
他にもいろいろ聞いた。
「先生のお気に入りの生徒は誰ですか?」
「クラスの女子の中で一番かわいいのは誰ですか?」
「頭がいいのは?」
「モテるのは?」
答えは、すべて、
「夕子」
夕子のやろう、自分で動かしているだろー!
とは思ったが、言えなかった。
夕子、もとい「エンジェル様」に言われるまでもなく、
自分が、男子からも、先生からも人気がないのを自覚していた。
小学生にして、自分のランクをというものが、最下層なのをわかっていた。
ただ、改めて
夕子、じゃなくて「エンジェル様」に
ダメ押しされるのが、苦しかった。
そこで、辛い現実のことでなく、明るい(かもしれない)未来のことを聞いた。
「Micchieeは、将来、結婚できますか?」
「はい」
おっと、優しいところあるじゃないが、夕子!じゃなくて「エンジェル様」
「それは、誰ですか?」
「埼玉県に住む田中某(名前失念)」
そうか、私、結婚できるんだ~
このお告げ?は、長~い、暗~い、モテナイ子の「救い」だった。
高校生になった。
さすがに「エンジェル様」のお告げ?なんか信じていない。
雑誌の「嫁かず後家シリーズ」を
目を皿のようにして、読むようになっていた。
現実の厳しさと戦いながら、
「今は醜いアヒルの子でも、いつか白馬に乗った王子様がやって来て、私は
白鳥になるの!」
と「醜いアヒルの子」と「かえる王子」の話を足して、二つに割ったようなこ
とを、夢見ていた。
しかし、現実は、どこまでも氷で閉ざされた極寒の地。
「このデブでブスな私を『好き』って言ってくれる人こそが、本当の愛の持
ち主なのよ!私は、その人を一生大事にするわ!」
と絶叫したかと思うと、
すぐに回りの友達に
「ねぇ、私って、そんなに魅力ないかな?」
と愚痴る。
「そんなことないよ・・・」
と彼女らに無理やり言わせる。
本当、友達は、
このデブス!うぜー!
とどのくらい思っていたことだろう。
「本当に、ごめんね」
ここで謝っておきます。
と、前置きが長くなったが、
永久凍土が融ける時がきた。
2000年、私はプロポーズされたのだ。
それは「埼玉県の田中某」では、なかった。
青い目をした金髪の美しい青年だった。
うっそ~~~!
と思うだろうが、本当である。
私が生まれた時に取り上げた医者が藪医者で、
「へその緒」と共に、「運命の赤い糸」も切ってしまったのだ、
と「恋人」とか「結婚」とか、あきらめていた。
いや~、生きていてよかった。
ちなみに、
「初めて、会ったときに、ビビビッ…」
というのは、ありませんでした。
もしかしたら、運命の人は、まだ他にいるのかも!
現在の私の感想・・・
あの時の美青年は、もういません。
時間って、残酷だね。
そして、あの時の「フィオナ姫」(シュレック)
は、「ジャバ・ザ・ハット」に進化しました。
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